• テキストサイズ

☆2016企画バトンリレー☆

第3章 1



▼視点:月島蛍

「なぁ、お前らはの従兄弟がバレー部主将だって知ってたか?」
「えっ!そうなんですか!?」
「……どこの学校すか」

部活開始前の部室ではまだ姿を見せないマネージャーの謎の従兄弟話で持ちきりだった。
澤村さんの言葉に盛大に驚く日向と、顏も知らない相手に敵意剥き出しの影山。

何処の誰かもわかんないのになんであんなに苛つけるのか。

僕には到底理解できない。

大体今朝の騒ぎで昼休みに澤村さんに注意を受けていたのに…あれはどう見ても二人とももう忘れてる。




「なぁ、もしかして月島は」

日向達の様子を呆れた目で見ていたら違う方向から声が掛かる。

「の従兄弟、誰だか知ってるのか?」
「!」

振り向けば腰に手を当てて笑顔で立っている菅原さん。
この人の観察力は本当に侮れない。


「ーー…知らないですよ、興味もないですし」

そう菅原さんに返した。
それは僕の頭の中とは、全く逆の答え。




『出来たら、皆には黙ってて欲しいの…春高予選が終わるまで』

そうさんに言われたのは春高予選が始まる少し前の10月の始め。
休日に話題の謎の従兄弟と彼女が出掛けてる所にたまたま出くわしてしまった。

「二人って…そういう関係だったんだ?」
『つ、月島くん…?!』
「あれ、烏野のメガネくんじゃん」

休みの日に二人で出掛けるなんて、そりゃ怪しむでしょ。
そう突っ込もうとした僕よりも先にさんが口を開いた。

『違うの…!徹くんは従兄弟なの!!』
「は…?大王様が……さんの従兄弟…?」
『うん…今まで部員の皆にはバレないようにしてきたんだけど実はそう、なの…』

春先の練習試合でも、インハイ予選でもそんな感じ全くしなかった。
どうやらそれは同じ県予選を戦うチームに変な動揺を与えたくなかったからだと彼女は説明した。

『影山くんとか、多分いい気はしないと思うから』
「……わかったよ」

チームを想う彼女らしい決断だったんだと思う。
影山の名前が出たのは少し気に入らなかったけど、二人の秘密が出来たのは悪い気はしなかった。




あれから1ヶ月。
予選も終わって、ついにその秘密が秘密でなくなろうとしていた。

/ 12ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp