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☆2016企画バトンリレー☆

第11章 レ




「なんなら、ほかの人もどう?ちゃんを懸けて戦いたいのは、俺達だけじゃないと思うし」

『えっ…あっ、あの…』


何か言いたげな面持ちの彼女だが、及川はさらに周囲の観衆の一部をちらりと見ながら及川は煽るような言葉を投げた。当然心当たりのある及川と目のあった観衆たちはドキリとした。だが、これに乗らない手はないと数名が名乗り出てきた。


「…割り込んでいいのなら遠慮しませんよ?」

「…目の前で奪われるのって腹立ちますしね。」

「おっ!?何々?俺もやるーー!!」

「あっ!!影山お前抜け駆けすんなよ!!」


約1名状況を呑み込めていないが、及川の挑発で4人が前に踊り出た。


「うん、これなら3対3ができるね。飛雄…覚悟しなよ?」

「…望むところです!!」


今にも乱闘が起こりそうな雰囲気の中、ついに彼女が声を上げた。


『もういい加減にしてください!!私は岩泉さんが好きなんだから!!』


体育館に一瞬の静寂が流れた。及川もその突然の告白に持っていたボールを落とした。


「えっ…ちゃん…俺、初耳なんだけど…」

『言ってないもん…中学の時から、徹くんの試合見に行く度にかっこいいって思って…でも、徹くんも岩泉さんもいつも一生懸命で全国行こうと必死だったから、だから隠してたのに…みんな急に…、勝負とか言い出すから…つい…』


ゴニョゴニョと語尾を濁す彼女に近づくのは、突然体育館の中心で愛を叫ばれた張本人。言った本人以上に顔を真っ赤にしている彼は、頭を掻きながら彼女に声をかけた


「えっと…俺別に、迷惑とかないからさ…その、お前がその気なら…///」

『えっ…///』

「ちょ!?ちょっと岩ちゃん!!」


顔真っ赤な1人勝ちの彼にしがみついてワンワン泣く及川。その様子を見ながら一度は火花を散らしかけた群衆も散り散りになっていく。


「大王様じゃなかったのか…」

「岩泉さんなら、仕方ねえな」


変人コンビは、あの青城のエースのカッコよさを知っている分彼女の恋心を少ない頭で理解していたが、この2人は釈然としていなかった。


「あぁ~あ、捕られちゃったね。」

「…まぁ、僕は諦めませんけどね。」


そう言って烏野の理性はうっすらと小さな闘志の火を燃やしていたのだった。



「あれ?試合やんねえの?!あかーし!?」
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