第26章 交差する想い
~澤村side~
「本当ですか?!」
武「えぇ、本当です。先ほど城戸さんのお兄さんから連絡頂いたので、澤村君達も早く知りたいのではと思い走って来ました」
菅「先生なのに廊下走るとか・・・」
ニコニコとしながら話す武田先生に、スガがツッコミを入れる。
「そっか・・・退院か」
結局俺は、入院中顔を出せなかったな。
代わりに先生や縁下が様子を見に行ってくれたけど、本当は俺も・・・
いや、俺は曲がりなりにも主将なんだ。
部活を放ったらかしにして顔を出せば、それこそ紡の事だ。
ー 他にやる事あるんじゃないですか!! ー
・・・なんて、怒られてしまいそうだな。
西「大地さん、スガさん?誰が入院なんてしてたんスカ?」
「あぁ、そう言えば西谷は知らなかったんだよな。こないだの青城との練習試合まで、清水の手伝いとしてマネージャー補佐をやってくれてた女の子がいたんだよ」
「潔子さんの?!それに女子って!!」
清水というキーワードと、女の子というキーワードを聞いて、西谷が急に元気になる。
菅「すっごい可愛いぞ~!きっと西谷も・・・あ・・・ライバル増えると困るから、西谷はいつまでも果てしなく清水を追い掛けてくれ」
西「なんスかそれ!・・・そっかぁ、可愛いのか・・・それは大いに楽しみだ・・・」
「まぁ・・・戻って来てくれたら、の、話だけどな」
正式には紡は・・・まだ部外者だ。
だから、入部届も何も預かっていない。
だからこそ、このまま終わってしまうことの方ばかり・・・考えてしまう。
岩 ー 紡を頼む・・・ ー
数日前に言われた言葉が脳裏を横切る。
頼む・・・って言われても、いや、もちろん入部なんてしなくても俺は守るし、突き放したりはしない。
だが、せめて・・・同じ部にいてくれたらと、そこは強く願う。
紡は一生懸命だし、何より暴走化する1年組を上手くまとめてくれる。
・・・ついでに説教も。
あの影山と月島をアレだけ言い込められるのは、今のところ俺は紡しか知らないしな。
まぁ、俺がもっとしっかりしろよ、って事なんだけど。
菅「早く会いたいなぁ、紡ちゃん・・・あのフワフワな小柄な体をギューッってしたい!」
「・・・スガ・・・逮捕だけは、勘弁してくれよ?」
スガみたいにオープン過ぎるのもアレだけど。
その気持ちは分かるよなぁ。
