第3章 新たな1歩へ
ふふっ・・・懐かしいな。
バレーボール頑張って、受験も頑張って春から同じ学校に通いたい。
そしたら毎日会えるし、一緒に登下校したり、今よりもっと一緒にいられる。
・・・と、いいな。
「みんなー、帰りの支度できた?忘れ物は大丈夫?」
チームメイトの声に、ハッと我に返った。
なにをぼんやりしてんだか・・・
今日はもう、家に帰ったらシャワー浴びて、お腹いっぱいご飯たべて寝ちゃおう。
そしたら明日は元気いっぱいに目覚めて、今日の事は忘れてしまえばいい。
そこまで思ってたから、涙が溢れてきた。
そっか、やっぱりかなりダメージ受けてんな・・・
ほんと、悔しい。
とめどなく溢れてくる涙を誰にも見られたくなくて、ぎゅっと目を閉じて、まるで汗を拭うかのように肩口で拭った。
「整列!!」
キャプテンの号令を元に部員全員が一同に整列する。
みんなが揃ったのを確認して、顧問の先生が列の前に立つ。
腕を組んで少しの沈黙のあと、顧問の先生が
話始めた。
「みんな、今日はよく頑張った!・・・と、俺は思う。周りの予想通りの結果までは出す事は出来なかったが、それはお前達のせいではない。もっと上まで連れて行ってやれなかった俺の責任だ。3年は今日で引退になるが、夏休みに入るからと言って遊んでばっかりいるんじゃないぞー。」
思うような結果を残せなかった事に対して、頭ごなしに怒られると思っていたメンバーは、ちょっとおどけた顧問の言葉に笑いをもらす。
「そうそう、その顔!3年みんなよく聞け!中学最後の大会、結果は覆すことは出来ないが、俺はお前達に悔し涙のまま思い出にさせたくはない」
どういう事だろうと疑問符がポンポン浮かび上がる中、話は続いた。
「俺はお前達に、最後の最後まで楽しい部活生活だったと笑って引退して欲しい!!以上!」
その一言のあと、引退生はグッと涙を堪え
「ありがとうごさいましたっ!!」
と、未だかつて無い大きな声で挨拶をした。
いい顧問の先生だったと思える様に明日からも頑張ろう。
そう言い合いながら私達メンバーは肩を叩きあった。
そんな様子を少し離れた所から大会を見に来ていた及川先輩とハジメ先輩がそっと見ていた事も気づかずに・・・。