第32章 不協和音
最初こそは戸惑ってはいたけど、何を言われても驚いたりしないからと言えば、実は···と澤村君が思い口を開き、出来事の一部始終を話す。
「なるほどねぇ···それは確かに堪えるね」
紡に正面切って大嫌いと言われた自分を思い出し、ちょっと苦くなる。
菅「それで大地は、部活の間ずっと石みたいになってたんです。まぁ、オレも大地の気持ちは分かるけど···道宮、頑張ってるし。けど、紡ちゃんは···」
「う~ん···そうだね。紡がいま意地張って拒否してるのは何とかなるかな、とは思う。と言うよりも、問題は、女子部のお手伝い云々って辺りかな?」
きっと紡は、ここまで拗れていたら正攻法ではいい返事をしない。
···絶対。
だって俺の妹だから、その辺はよく分かってる。
「もしも、の話だけど。女子部の指導者が見つかったら、引率する顧問代理は当日だけでも武田先生が引き受けてくれるのかな?」
澤「あ、はい···でもそこも問題をクリアしないと行けないとは言ってましたが」
問題?
「それってどんな?」
澤「正式な顧問である武田先生が、烏養コーチにだけ俺達を任せて留守にするのは難しいかもって」
あ~、烏養か···烏養、ねぇ。
「よし。じゃあこういうのはどう?その女子部の交流試合の日は自主練って形にして、責任者は烏養にする。烏養なら学校も分かってる外部コーチだし、問題はないでしょ?」
澤「でも、女子部の指導者が···」
「そこは、ほら。俺なんてどう?毎日時間一杯ってのはさすがに病院勤務があるから難しいかもだけど、俺が行けない時は慧太を派遣するとか」
「「 いいんですかっ?! 」」
おっと?!
凄い食い付きだな。
「もし慧太が予定があったらムリかもだけど、その時は俺が行ける日に指導者代理をするから。幸い今週は日勤だけだし、部活が始まって少ししたら参加出来ると思うんだ。まぁ、これも急患がなければの話になるけど···それでも良かったら」
菅「凄い···いいなぁ道宮達は。桜太さん達に指導して貰えるなんて···」
「アハハ···君達にはちゃんとしたコーチがついてるじゃないか。烏養は見た目アレでも、細かい所まで見てるよ?烏養はセッターだったから、出てない試合もちゃんと研究してた。もちろん、俺の次くらいにね」
冗談を混ぜて笑えば、2人も釣られて笑い出した。
