第32章 不協和音
~ 澤村side ~
合宿も無事終わって、久しぶりな感じがする教室までの廊下を歩く。
今朝は朝練もなかったから、ほんとにのんびりとした朝だったな。
が、しかし。
音駒との練習試合は結局1度も勝つ事は出来なかったんだから、あの後のミーティングでコーチが言ってたように課題は山積みだ。
日向と影山の新しい連携も、もっと練習が必要だし。
それにスガだって、うちのチームには欠かす事の出来ない大事なメンバーだ。
今後の練習内容とか、具体的にコーチと話し合わないとダメだな。
考え事をしながら階段を登っていると、踊り場の折り返しで人とぶつかってしまう。
「ごめんなさい···」
「あ、こっちこそゴメン。考え事してて···って、道宮か」
道「澤村···おはよう。私も考え事してたから、ごめんね?」
いや、お互い様なら全然···と返しながら、道宮にいつもの元気がない事に気が付いた。
「なんかあった?その、あんまり元気ないみたいだからさ」
道「あったって言うか···でもこれは部の事だし、仕方ない事もあるから、平気」
「部の事だしって、だったら尚更ほっとけないよ。前にも言っただろ?話しならいくらでも聞くからって」
道宮とは中学も同じだし、バレー部のキャプテン同士だったってのもある。
そこは今も···同じだけど。
「で、どうした?」
道「それが···実はね。今度の土曜日に青葉城西の女バレが主催する交流試合があって、うちの部も呼ばれてるの」
「青城の?!へぇ、女バレもちゃんと頑張ってんじゃん」
道「違うよ、澤村達が練習試合して勝った事とかが影響してるんだと思う。変な言い方だけど、あの烏野が勝った!みたいな。だけど···」
道宮の話の続きは、俺の予想とは違うもので。
顧問の先生が病欠になって不在。
他の部員の1人も、母方の祖父が危篤だからって今朝から休んでる。
よって、部員はギリギリ6人な上に元々コーチかいないし、顧問不在となれば···参加は出来ない。
そういう内容だった。
「なるほどねぇ···顧問の問題は、最悪誰かに同行をお願い出来るとしても···問題はメンバーか···」
道「そうなの。そこはどうにもならないから、放課後にでも断りの連絡入れるしかなくてさ?あんな所と練習試合出来るなんて!とか、思ってたんだけどなぁ」