第1章 チョコ好きカップル
『はぁ~、幸せ!!』
「紅葉ってホントチョコ好きだよね。」
『うん大好き!!』
白鳥沢学園の3年生のあたしは、昼休みと過ごしていた。あたしは3年間調理部として活動しているからと、無類のチョコ好きということで身長167センチに対して体重60キロというちょっとぽっちゃり体系だ。
でも、そんなあたしでも彼氏はいる
「紅葉ちゃ~ん♪」
きた。今日もあたしのお菓子を求めてやってくる自分の彼氏であり周りの生徒からはゲスモンスターと呼ばれている男
『あれ?覚今日は遅かったじゃん。』
「センセーに捕まって雑用やらされたぁ~」
とあたしの座っている机の脇に来てそうやってぼやく彼氏は、我が白鳥沢学園の男子バレー部の元レギュラーだった人。先月の春高の県大会で元強豪のカラスノってところに負けてもう引退している。
でもこいつは、引退しても受験も何もない。なぜならこいつはこの学年で1割いるかいないかの就職組だから。あたしですら調理師の専門学校に通うために少なからず受験勉強をしている。
「紅葉ちゃ~ん俺疲れた~。チョコ~」
『はいはい、今日買ってきたメルティ〇ッス。』
「わぁ~い♡」
覚はあたしがつまんで差し出したチョコをそのまま食べた。しかもその指に着いたココアパウダーもご丁寧に舐めて
『ちょ…ッ!!覚!!』
「えぇ~、ダメ?」
『…はいはい』
「うん、じゃあ後でね♪」
それだけ言って覚は教室を出て行った。
傍から見たらそれは異様な光景だろう。だってカップルが仲良さげにチョコを食べ合っているから
「ホントあんたらラブラブだよね…」
『…まぁね』
みんなあたし達が仲がいいと思われてるみたいだけど、さっきのアレはあたし達の中のあるルールの一環だった