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人魚姫ストラテジー【HxH】【裏】

第12章 声と少女


ヒソカの居場所が特定出来た。
恐らく天空闘技場の付近のホテルだろう。
マチとシャルナークの意見ですぐに特定することが出来た。
ここから急いでも半日だろうか。
クロロは急いで向かうつもりだったようだが、シャルナークの待ってみようという意見に乗ることにした。
どのホテルか、まだそこまでの特定が出来ずにいたし、急いで向かってもまだいない可能性だってある。
いつも気まぐれ。
急に路線変更した場合に対応出来るように、1日程遅れてから発った。
ルルがいない状態が2日間。
クロロは少し滅入っていたようで、彼らしからぬ上の空っぷりであった。
「団長、プリンいる?」
「いらない。」
「珍しいね。」
不安で好物すら喉を通らないのか。
ただ呆然と飛行船から見える景色を眺めていた。
真っ青と雲の狭間で、他に見える物はない。
漸く辿り着いたホテルは、上流なビジネスホテルだった。
シンプルな作りだが、上品さが漂う凛とした印象だ。
「ヒソカ様は昨日チェックアウトされました。」
「…無駄足か。」
「クロロ様に渡すようにと荷物をお預かりいたしました。」
ホテルマンは引き出しを開けると、中からぼすっという音を立てて重そうな紙の束をフロントに置いた。
「…!」
《夢想叶書(むそうかしょ)》、なんという国だったか。独特の文字で表紙を彩っている。
幻の願い事を叶える本。
そこには、トランプが一枚挟んであり、ヒソカの字で、
「必要無くなったから要らない」
と書いてあった。
「必要無い?」
元からいるはずはなかった。
それはクロロを引き寄せる都合のいい餌だった。
だから渡した。
そうなのか?
夜、町で合流したのは昨夜から相談をしていたシャルナークとマチだった。
ホテルの部屋を取る。違う町に移った可能性も考えると、次にどこに向かうか決めるのは容易ではない。
「本を渡す為だけに、ここに泊まったとしか思えないな…。」
「まあいいじゃん、目的が一つ達成出来て。」
シャルナークが励ますとマチが、
「嫌な予感がするけどね。」
と付け加えた。
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