第5章 抜き打ちテスト
『・・・あの、じゃあ、ここ出るってことですか?』
先生の指先を見て聞いた。
先「・・・んー・・・」
『え?・・・』
先「・・・ふふ、さあ?どうでしょ?」
ドキッ
2度目の笑顔には、
不覚にも心が乱されてしまった。
『お、お願いします・・・』
4回目の追試が終わった。
先「・・・・・・」
黙々と採点する。
『どうでしょう・・・?』
先「ん、合格っ」
追試4回目にして、やっと終わった。
『やったーー!終わったー!』
先「はいはい、ご苦労様~」
だけど・・・
『・・・先生が・・・
嘘を教えなければ、もっと早く終わってた・・・』
そう、3回目の前に教えてもらった答えは・・・
出なかった・・・
そうそう・・・
こういう人でもありましたね・・・
先「嘘じゃない。
あれはあれで本当に重要なポイントだ」
『で、でも、問題には出てこなかった・・・』
先「俺だって、出るとは言ってないだろ、
信じたのはお前じゃないか」
ほんっとうに・・・
『・・・悪い大人だ・・・』
先「ははっ、騙されんなよ」
そう言って、目の前でヘラヘラ先生が笑っている。
今日は良く先生のこの笑顔が見れる・・・
普段も笑ってる姿はよく見るけど、
なんていうか、私の知っている“笑顔”じゃない。
だから、久しぶりにあの頃の先生に会えた気がする。
でも、
先生は私のことは・・・
ううん、仕方ないこと。
先生の笑顔に合わせて
自分も笑って見せた。