第3章 最後の日。
手紙と蒸しパンを置いて、
私は眠そうなおとを連れて
いただいた洋服類も持って、部屋を出る。
鍵はオートロックなので部屋に置いて。
大野さん、ありがとう。
エレベーターを待っていると、
後ろから誰かがかけてくる。
大野「待って!ちゃん!!
おとちゃん!!」
蒸しパンを持った大野さん。
「あ、起こしちゃいましたか!?」
部屋着のまま、ねぐせのついた大野さん。
大野「蒸しパン、ありがとう!
それと、今までごめんね!」
そう言って蒸しパンを口いっぱいに
頬張った。
大野「おいひい!これ、おいひい!!」
泣きながら蒸しパンを食べる。
「…大野さん!元気で!
私もおとと一緒に頑張ります!!」
私は精一杯の笑顔で、
大野さんに言う。
そしてエレベーターに乗り、
マンションを後にした。