第2章 ぬくもりの分け方
木ノ葉に来てから、牡丹は自分の弱さを感じることが増えた。里に努める忍たちと比べた体の脆さだけでなく、大名の娘であり政治の道具としてしか生きてこなかった心の薄弱さ。意思を持たぬ人間の何と不甲斐のないものか。
里の人々は暖かい。少なくとも、愛のない婚姻の中でも手を伸ばしてくれる人々がいる。牡丹が木ノ葉の里のために尽力すれば、受け入れてくれるのだろう。
「私自身でできることを、してみたいのです」
優しさに触れたい。愛情や慈しみを分け合いたい。里のために牡丹自身ができることがあるのならば、手を伸ばしてみたかった。
幸い牡丹には、富豪の実家と里を繋ぎ、繁栄させるという役目を持たされた。その責と願いが同じ方向を向いているのならば、好都合といえよう。
「里のために、皆さまのために心を懸ければ、私がここで生きていても良いような気がするのです」
牡丹の意思を以って必要とされたい。そうする事で、幾許か強くなれるように思えた。
忍の術を覚えたら役に立つだろうかと思いの丈を述べると、困ったように後頭部を掻くカカシの隣で、暗部の面が首を傾げた。