第33章 last 4d night【シリウス、セス】※R-18
突然与えられた手首の感触にレイアは息を飲んだ。
……しかしその感触の正体がシリウスだったことに、レイアは少しだけ安堵した。
「……シ、シリウスさ………」
「………ん……ぁ……」
シリウスはレイアの手首を掴んだまま、眉根を寄せて見据えていた。
「…あ、あの……大丈夫ですか…?」
「………あぁ……」
目が慣れてきて、シリウスの表情が徐々に見えてくる。
いつものシリウスとはやはり様子が違う。少しぼーっとしていて、細められた瞳は僅かに潤んでいた。
(ど、どうしよう)
離してくれそうもない手首に目を向け少し困ったようにレイアが口を開く。
「あ、あの…お水!飲みますか?私持ってきますねっ!」
そう言って軽く手首を引っ張るが、シリウスの手は離れない。
(う………)
「シリウスさ……」
「行くな」
「えっ……?」
立ち上がろうとしたレイアを、シリウスは力強く引っ張った。そのため、よろけてそのままシリウスの上にダイブしてしまう。
「あっ……!」
シリウスの顔が目と鼻の先にある。
微かにアルコールの香りがする。
「…いいから……ここにいろ」
「…えっ………あの…」
(居てもいいけどこの距離は近すぎるよ…)
少し距離を取ろうとレイアが身体を起こそうとすると
「……離れんなって…!」
「わわっ…!!」
手首をつかむ手と反対の腕がレイアの背中を掻っ攫い、そのまま抱きしめた。
「……いい子だから…大人しくしてろ………」
掠れた低い声が耳元に響く。
途端に月小屋の夜のことを思い出し、レイアの身体が無意識に火照りだす。
「………ぁ……」
「レイア…」
名前を呼ばれ、鼓動が一気に跳ね上がる。
「……こっち向け、レイア」
「……っ」
顔を上げると、潤んだ眼差しのシリウスが降りかかるレイアの髪をそっとかき上げた。
「………」
シリウスはそのままレイアの頬を包み込むようにして、唇を重ねようとした。
(………あ……シリウスさ……!)
レイアが目を伏せようとしたその時だった。
「えっ?!」
後ろから思い切り肩を掴まれ、レイアの身体が一気に浮き上がる。