第22章 10th Night【ヨナ・クレメンス】※R-18
「この俺に身体を洗ってもらえる人なんて、世界中探したって君以外にいないからね」
湯気の沸き立つバスルーム。
華やいだ香りの泡で、ヨナはレイアの身体を丁寧に洗っていた。
(洗ってって頼んではいないんだけどな…)
しかしヨナが満足そうに、慈しむようにレイアの身体を洗っているのを見ると、何も言う気がしなくなってしまう。
(何だか嬉しそうだな…)
思わずレイアが笑みをこぼすと
「なにニヤニヤしてるの?」
「えっ…?」
「そんなに嬉しいんだ?」
「……あ、うん…ヨナの顔見てると幸せな気分になる」
「え?俺の顔??」
ヨナはきょとんとて、少し顔を赤く染めた。
「君ってたまに変なこと言うよね…」
そう言いながらお湯で丁寧に泡を流していった。
「レイア?」
「ん?なに?」
「……レイアがどうしてもって言うなら、俺の身体、洗わせてあげてもいいんだけど?」
ヨナは明後日の方を見ながらそう言う。
(ほんと…可愛いな、ヨナ)
「…うん、じゃあ…洗わせてもらっていいかな」
「いいよ!特別に許可してあげる!」
無邪気な顔のヨナに、レイアは泡をつけ始めた。
今だけ。今だけは。
明日より先の未来のことは…考えるのをやめよう。
今、この瞬間の幸せな気持ちに
全てを委ねておこう。
レイアはそう自分に言い聞かせながら
愛しい人の肌へと、泡を滑らせていった。