第1章 この世界の事情
この男、皇の寝床を漁って供物にまで手をだしていたのか!
ジールも拳を握るが、ひとつ咳払いをすると立ち上がり神子へ近づく
「そうでございましたか!湖の国までは行脚にて3ヶ月ほどかかると思われます。神子様の旅の安全をお祈りしております。さて、出発はいつ頃の予定でしょうか」
ジールはこの国に残っていても有害なだけなら出ていってもらったほうが、白銀3枚よりはるかに良いと思った。
「うむ、1週間後としよう。この国には妾の代わりにハイズを置いていく。お目付け役として気を緩めぬようにな」
「はい!」
ハイズと呼ばれた小型の2足の犬が元気に返事をする。
監視がつくのは厄介だが小型の犬どもには何も出来まい。
レオンも立ち上がり神子に頭を下げると部屋を後にした
「一週間後に世界樹の階段下を武官隊にて探索する。3階までは地図もあって下層への階段も見つかっているからその先を探索しようと思う」
世界樹には迷宮があり、命懸けで3階までは地図も出来ている
しかし多くの犠牲も払った。
4階以降に水源があるとは限らないがこのまま枯れ死んで行くよりはましだろう
武官は名の通り武に長けた官省で、攻めいられたりモンスターを倒すことを得意とする戦士たちの集まりだ
主にライオン、馬、サイ、カバなどが得意とする
書官は書記を仕事とする
世界樹についての文献から日常のいざこざ、他国とのやり取りなどをまとめる官省である。
老官は長く生きるものが知恵をしぼり国を良くしようと動く。過去にあったことから参考にしたり、他国の風習や歴史について詳しい知識豊富な亀やゾウが主に担っている
この国は世界樹の恩恵でその神をたたえながら細々と暮らしてきた農村地帯だ。
この国は周りを海に囲まれ、唯一の陸は切り立った山脈の隙間少しを馬車3台分ほど通れる隙間しかない。
貿易はするものの、この国に今や資源は枯れて無く、交換できるものがない。
レオンは枯れて床に臥せる皇に毎日祈りをささげている。
その祈りはもう枯れた皇にはとどかないのかも知れない