第1章 出会い
わ、笑っている……。
わかりずらいけれど、確かにリヴァイ兵士長が笑っている。
二人の会話で出てきたモブリットの容姿をほんの少しだけ思い出していたアイリーンは、いつからかこちらを見ていたリヴァイに気がつき、そして少しだけ笑っているリヴァイに戸惑っていた。
何か変なことをしただろうか。
それとも変な顔でもしていたかな……。
それともそれとも、何か企んでいるとか……。
様々な妄想が頭を駆け巡り、折角思いだし掛けていたモブリットの容姿は消え去っていた。
今は目の前のリヴァイの不適な笑みの理由を考えるだけで、精一杯だった。
「さて!それじゃぁそろそろ帰ろうか!」
急にハンジが眼鏡をかけ直しながら、ニコッと微笑んだ。
その声にリヴァイはアイリーンから視線をハンジに向ける。
逸らされた視線に、アイリーンは本日二度目になるホッとした気持ちになった。
「今度はノックしてから入ってこい。」
「はいはい。リヴァイは神経質なんだから。」
「二度と来るな。」
あはは。と笑うハンジに、リヴァイはチッと舌打ちをしてアイリーン達が入ってきたときと同じように、窓際の机に向かった。
最初は緊張で気づかなかったが、リヴァイの机の上には溢れんばかりに書類が積んである。
恐らく仕事が貯まっているのであろう。
そんな中、お邪魔してしまっていたのか。
アイリーンはお邪魔しました。と軽く頭を下げるが、リヴァイからの返事はない。
ハンジが行こうか。とアイリーンの背中に触れ、それを合図に二人はリヴァイの部屋から退出した。
部屋から出る一瞬、アイリーンは部屋の中を振り返ったが、ペンを持ったまま振り向きもしないリヴァイに、少しだけ寂しさを抱いた。