第4章 エルヴィン団長とリヴァイ兵士長
「……俺はもう戻る。訓練を見ているんだ。」
「ああ、ミケ。これに目を通しておいてくれ。今度の璧外調査の内容だ。」
部屋から出ていこうとするミケに、エルヴィンは一枚の紙を差し出す。
頷き紙を受けとると、ミケは静かに部屋を後にした。
「これで、璧外調査へと集中できるな。」
「これは毎年の事だ。解決しようがしまいが、大差ない。」
「その割には、今回は積極的に解決しようとしていたようだが。」
「解決の糸口が見つかったなら、解決させる。それだけだ。」
いつもと変わらない口調で言い張るリヴァイに、エルヴィンは苦笑いを溢した。
人の事を言えた義理ではないが、頑固なやつだと思う。
……こんな境遇では、仕方ないことだが。
「そうなのか。毎年の事なのにいきなり頑張りだしたのは、女絡みだと思ったのだが。勘違いだったかな。」
エルヴィンは突然この事件にやる気を出したリヴァイに、少しだけ疑問を抱いていた。
そして思ったのだ。
あのリヴァイが、女の為に事件を解決しようとしているのではないかと。
もしそれが本当なら、嬉しいような、止めておけと止めたいような。
複雑な気持ちになったりもした。
それでも、本当に意識する人が現れたなら。
応援したいという気持ちが勝ってしまった。
「……こんな場所で女に現を抜かせるか。」
「……そうか。」
リヴァイはポツリと、エルヴィンから見れば項垂れたように呟いた。
リヴァイの言葉は、エルヴィンの胸にズキリと刃を立てて
それ以上、何を言うこともなくリヴァイはそのまま部屋を後にした。
「……はぁ。女の一人でもつくれ。と軽々と言えたら、世界は変わるだろうか。」
どこへ向けたか分からないエルヴィンの言葉は、誰にも届かぬまま空気に溶けていった。