第9章 あの日
(あの日と同じ感じ。両親を失った時と同じ感じ。嫌な予感しかしない…!)
ソラは、うるさい心臓を抑え、まだ回復しきっていない身体に鞭を打ち、うちはの集落に走った。
だんだん集落へ近づく。
すると、入り口付近に、暗部の任務服を着た人が立っていた。
(良かった、間に合った…!)
遠くからでもわかる、愛する兄の姿。
ソラは、イタチに向かって思い切り叫んだ。
『兄さんっ!!!!』
イタチは驚いたかの様に振り返り、名前を呼んだ。
「ソラ、何故ここにいるんだ。」
大好きな兄の声。
しかし、どこか冷たさを感じた。
イタチがこの前、私を刺した忍者に向けて放った時の声と、同じ冷たさだった。
少し、怖い。
だけど、その恐怖を振り切って、ソラはイタチに駆け寄った。
『兄さん、気づいてあげられなくてごめんね!大丈夫だよ!1人で全部背負わないで!』
その言葉に、ほんの少しだけイタチの顔が歪んだ。
何かに耐えているのはすぐに分かった。