第5章 事件
想像していた痛みは襲ってこなかった。
その代わりに聞こえてきたのは、金属と金属がぶつかる音。
(あれ…?死なずに済んだ?)
状況がよく分からず、ソラはゆっくりと目を開けた。
目に映ったのは憧れる立派な忍の背中。
「うぅ…っ。に"ぃざんっ…!」
『ィタチ…にぃ、さん?』
「遅くなってすまない。サスケ、ソラ。」
これ以上ない、良いタイミングで助けに来てくれた。
(やっぱり、イタチ兄さん、かっこいいなぁ。)
ソラと、サスケを守ってくれる背中。
その姿に、少し違和感を覚える。
いつも大好きで暖かい、優しいイタチから、今は冷たい空気が流れていた。