第36章 私は
暫くして、サスケが医者を連れてきた。
特に悪いところはないので、しばらく安静にしなさいとのこと。
様々な検査があるため、まだ少し入院しなければならないが、五代目の許可が下りれば退院できると、医者は言った。
まぁそれも、身体が自由に動けるようになれば、の話なのだが。
サスケがソラ代わりに礼をし、医者が出て行くと同時に、カカシが戻ってきた。
「お!リク、目を覚ましたのか。
本当に心配したぞ、仲間のことになるとすぐ無茶するのは…するな言えないが…。
お前は無茶しすぎ、もっと人を頼りなさい。
自己犠牲は忍にとっちゃ素晴らしい心がけの1つかもしれないが…そこはまぁ、難しいよネ。」
『はい、心配をおかけしました。申し訳ありません。』
カカシが言い渋ったことを察して、私は素直に謝った。
忍の世界なら、自己犠牲的考えは素晴らしいものだと思う。
けれど、カカシは私たちの上司として、先に死なせたくないんだと思う。
でも、忍としてそんなこと言えない…
という答えの出ない思考回路にハマっていたのだろう。
そんな私の助け舟を理解し、カカシは安心したように笑ってみせた。
「ん、分かったならよろしい。
まあ、何処にも異常はなさそうだし、良かったよ。
それよりサスケ、弁当持ってちょっと外に出てろ。」
カカシは持っていた袋をサスケに投げた。
美味しそうな匂いはするが、今の私の胃は受け付けてくれないだろうな…なんて呑気なことを考えながらその2人のやりとりを見ていた。
「俺もいる。」
「いーや、サスケは外にいなさい。」
今からの話は、例えサスケであっても、簡単に聞かれてはならない。
勿論、反論があったとしてもだ。
「何故だ。俺だってリクが心配で…」
「あのね、心配するのは良いけど、自分が倒れちゃ元も子もないでしょ。外の椅子に座って休憩しなさい。」
第七班の自己紹介の時に、実はサスケはかなりわかりやすい奴だと思っていたが、それは正しかった。
サスケは粘るつもりだったらしいが、俺が許さない事を悟ったようで、舌打ちをした後、しぶしぶドアへ手をかけた。