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大切【NARUTO】

第36章 私は





「…医者を呼んでくる。静かにしとけ。」


『分かってるわ。心配しないで?』


私は、サスケが部屋の出て行く姿を見送った。
身体はまだ動かないけど、目も見えてる、耳も聞こえる、話せる、十分だ。

手を握られた瞬間、意識が引き戻されるような感覚に陥った。
目の前で大切な人達が殺されていく幻術から、救い出してくれた手は、愛する彼のものだった。

そして、目を覚ませば目の前には、涙を流すサスケがいたんだ。

サスケに会えた。
やっと会えたんだ。
そう思うと、少しばかり胸が踊った。




…会いたかった。サスケに会いたかった。




毎日会っていたけれど、気持ちは5、6年ぶりくらいだろうか。

改めて見ると、サスケ大きくなったな。
それに、かっこよくもなったな。
とても不思議な気分。


『会いたかった…。』


ドアに向かって呟いた。


歌神リクとしてではなく、うちはソラとして。

やっと会えた。
この世で一番大切で、愛する人。


『サスケ、私はここにいるよ。貴方は初めから一人じゃなかったの。…私がソラなの。』


その声は、誰もいない病室に響き、消えていった。





…少し落ち着き、記憶を整理すると、色々辻褄が合う。

イタチに鍛えられていたから、記憶を失った時から、かなりの力を持っていたんだと。

波の国での再不斬との戦闘も、大蛇丸との戦闘もそう。
イタチと共にいた際に、何度か忍と戦った事があったから、あんなに格上相手にも自由に動けたんだと。

写輪眼を持っているのも、誰かに貰った訳ではなく、うちは一族だからなのだと。

サスケの幼馴染と、自分が瓜二つと思ったのは、本人だからだと。

…サスケが好きだと気付いた際に、嫉妬心を抱いていた相手は、自分自身だったのだと。

サスケを守りたい、そばに居たいと思ったのは、記憶を失う前に強く心に誓ったからだと。


『…全部、繋がってる。…兄さん。』


イタチがあの時鍛えてくれた三年間のお陰で、今まで生きてこれた。
左耳のイヤーカフに静かに手を当て、この世界のどこに居るかも分からない兄へ礼をした。




思い出した事の中には、辛いものもある。

両親の死、一族の壊滅、イタチの里抜け。





そして、少しの復讐心も芽生えた。



…私からすべてを奪った、あいつに。




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