第36章 私は
リクを心配しているのは第7班だけではない。
病院へ向かう途中、別の班にも遭遇したが、口を開けば皆彼女の話ばかりだ。
「あの…。カカシ先生…、リクちゃんの様子は?」
「俺達はリクの事が心配だ。なぜなら、まだ眠っていると聞いたからだ。」
「朝の散歩でさ、リクと会わなくなって赤丸も元気でねぇんだ。」
紅班も。
「うちの花持ってきたから、リクに届けてよ!」
「リク、心配だなぁ。焼肉食べたら元気でるかなぁ。」
「チョウジ、リクは寝てんだ。肉なんて食えねーよ。ったく、…心配させやがって。めんどくせー。」
アスマ班も。
「カカシ先生!リクさんはまだ目を覚まさないんですか!?」
「中忍試験の時もだが、あいつは無茶しすぎだ。まったく。」
「リクが起きたら報告してくださいね?」
ガイ班も。
カップラーメン、餡蜜。
団子、虫の図鑑、犬のぬいぐるみ。
花束、ポテトチップス、将棋の本。
緑のボディースーツ、フルーツバスケット、忍具一式。
"リクへ届けろ"と、各班員からもらった物を両手で抱え、俺はは彼女の病室へ向かった。
「サスケ、中にいるでしょ?ちょっとドア開けてよ。」
ガラリとドアが開く。
目の前には、目の下の隈がさらに大きく広がっているサスケ。
心なしか、瞼が腫れている。
そしてその奥のベットで静かに眠るリク。
「カカシ…。なんだそれは。」
サスケの言葉には覇気はなく、ある意味予想通りであった。
そんな姿に溜息をつくと、早く答えろと言わんばかりに睨まれたものだから、苦笑いをした。
「みんなリクに持ってけって言うんだよ。
それよりサスケ、隈が酷くなってる。ちゃんと寝てるか?」
「リクが起きねぇんだ。気を緩めて寝れるわけないだろ。」
「ま、そう言うと思ったよ。」
想定内の答えに、大きな溜息が出る。
「…なんだ。」
「いや、リクが目覚めた時、誰がリクを助けてやれる?
俺がしてもいいけど、それはお前の役目なんじゃないの?サスケ。」
俺は考え込むサスケを見下ろし、たんまり持たされた見舞いの品を、ベットの近くの机に置いた。