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大切【NARUTO】

第34章 デートをしよう





叩かれた手が、ジンジンする。

でも、もっと痛いのは、心だ。

もしよければ、また、デートをしよう。

そう、言おうとしてたのに。

また、大きな壁ができてしまった。
前よりも高く、広く、厚い心の壁。

何が悪かったかも分からない。
どうして私の手を叩いた時のサスケは、泣きそうな顔だったんだろう。

やっぱり私達は、分かり合えているようで、何も分かり合えていなかった。


『ううっ…どうして…?』


私が里に来てからもう5年。
これほどの年月を、1日も欠ける事なく共に過ごして来たと言っても、過言ではない。

何回だって、彼の心の闇を知る機会はあった筈なのに。
気づかないふりをして、ただ、私は、ニコニコと笑っていた。

なんて、バカだったのだろう。
こうなる前に、何とかなった事だったじゃない。

涙が、ポロポロと溢れ始め、私は肩を抱いた。


『…私の、歌が。サスケを苦しめてる…。私があの日…歌ってしまったから。』


そう、あの木の葉崩しの日。
あの日からすでに、この心の距離が広がり始めた。


"サスケが遠くに行ってしまう夢"


今これが、現実になった。

全部、私の所為だ。
私がサスケを追い込んでるんだ。

私の歌によって"日常"という名の歯車は狂い始めた。




デートをしよう。

そんな事、もう言えないのかも知れない。

一緒にご飯を食べよう。

それも、いつかは無くなるかも知れない。

記憶の衝動に苦しむ私を救ってくれる優しい手は、もうないのかも知れない。

対音忍の時、私の目を見る事なくただ「黙れ」と言ったサスケ。
一体何を想ってそう言ったのだろう。





もう……私には……

……………何も、分からない。





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