第34章 デートをしよう
「調子はどうだ?」
『う、うん。今は全然大丈夫。
…ごめんなさい、今日、折角時間を取ってくれたのに、こんなことになっちゃって。』
「問題ない。」
謝る彼女の様子を伺うが、体調も嘘はついてないらしい。
良かった、無事ならそれで。
「今日は悪かった。俺が囮にでてれば、あんな事にならなかったかもしれない。」
今から後悔しても遅いのだが、ずっと後悔していた。
確かにリクは強い。
ナルトを認めない俺が言うの変かもしれないが、木の葉の下忍の誰よりも、彼女は強いことは認めている。
だからって、リクは完璧って訳ではない。
彼女は記憶という大きなものを失っている。
今日のように、いつ、記憶の衝動が来るか分からないのだから。
それに、大切な女を囮に出すか?普通。
確かに、俺が守りきる自信はあった。
それでも別の選択の方がよかったに決まってる。
考えれば考えるほど、自分の浅はかな考えに腹が立ち、どんどんと眉間にシワがよる。
それを見たリクは、クスクスと笑い、ドアの前で立ったままの俺を招く。
そして、それに招かれるままに、俺はベッドへと寄った。
そのままリクは、驚く事に、指先で俺の額を小突いたのだ。
『ふふっ、そんな眉間にシワを寄せないで?
許して、サスケ。今度はこんな事にならないように気をつけるから。』
「許せサスケ、また今度だ。」
気がつけば、俺は、リクの手をはたき落としていた。
ひどく驚き、悲しみの顔色を見せる彼女に、なんの言葉も届ける事なく、俺は病室をでた。
何も、言えなかったんだ。
(………くそ…っ!)
なんでこんな事になったんだ。
こんな事、する筈じゃなかったのに。
やはりどうしたって、あいつへの復讐という呪縛から、俺は逃れることができないのか?
ごめんな…リク…。