第34章 デートをしよう
「カカシさん、お疲れ様です!」
「イノイチさんこそ。で、どうです?」
「ああ、この音忍達、下っ端らしくて詳しい情報は分かりませんでしたが、裏で糸を引いていたのは大蛇丸で間違えなさそうです。」
カカシはイノイチの言葉に、やはりそうかと頭を掻いた。
山中イノイチとは、アスマ班の紅一点、山中イノの父であり、精神のスペシャリスト。
相手の脳内を覗き、情報を抜き出すという山中一族の秘伝忍術を使う。
そしてまたその場には、尋問・拷問のスペシャリストであるイビキの姿もあった。
「イノイチの情報をまとめると、こいつらは、リクの誘拐が目的だったようだ。
ただ、理由は何も聞かされてないらしい。
…大蛇丸は前の中忍試験でサスケを狙い、呪印をつけた。
リクを誘拐すれば、もちろん第七班は追うだろう?
そうすれば、奴のアジトにサスケも誘導できる。つまり…。」
「ま、そう考えるのが妥当でしょうね。」
やはりそうかとイビキとイノイチが考え込む中、カカシはまた別のことを考えていた。
確かに普通なら、先にイビキが言ったようなことを考えるのが正しいだろう。
しかし今回のターゲットは、歌神リク。
大蛇丸相手に写輪眼も歌の力も大いに見せつけてしまったことは、変えられない事実。
純粋に、リクを狙っていたと考えても間違えではないのだ。
(リクを連れ去る事を成功すれば、サスケをあちら側に引き寄せるタネになる。
こちらに来なければリクを殺す…なんて言えば、サスケが行かないわけがない。
それにサスケが来なくても、セイレーンの実験体、そして写輪眼が大蛇丸の手に渡る。
リクを連れ去る事が出来なくても、今回の件で、サスケの心を揺さぶる事が出来る。
そして次の一手で、サスケを狙えば…。
…やられたな、これは。最悪だ。)
これ程までに2人を大蛇丸が狙う訳は、次の転生の器にする為だという噂がある。
まだ13の、これから大きく成長していくサスケとリクを、彼奴に渡すわけにはいかない。
「カカシさん?どうしました?顔色悪いですけど…。」
「あ、うーん。なんでもないですよ。」
俺は誤魔化すように笑い、この部屋を後にした。
三代目、俺はどうすれば、彼奴らを守る事が出来ますか…。