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大切【NARUTO】

第34章 デートをしよう





『…もう知らない。サスケなんて知らないわよ!』


大きな声で叫び、走っていったリクの背を眺めた。

一体何がリクの機嫌を損ねさせたのか。
リクはそんな理不尽に怒鳴り散らすようなやつではない。

理不尽に怒られた事は、一度彼女を起こさずに放っておいて、アカデミーに遅刻してきた日ぐらいだろう。

だから、何か原因があるのは分かるのだが。

暫く会話を思い出そうと、頭を悩ます。
そして一つの答えにたどり着いた。


「今度の休み、どこかに出かけよう…って、約束してたな。ハァ…。」


その約束の話を持ちかけたのは、俺の方だったのに。
別のことに気を取られ、今の今まですっかり忘れていた。

バカ野郎と自分に喝を入れ、俺はリクの後を追った。






リクは自身の家へと入っていったのだろうが、残念なことに俺もその部屋の鍵を持っている。

何時ものように扉を開き、啜り泣く声のする場所へと向かうと、ベッドに伏せたリクがいた。


「リク、悪かった。」


『……なにが?』


グスンと鼻をすすりながら返事はするが、顔をこちらに向ける事はなく、枕に埋めている。


「明日は…何処に行く?」


『…………忘れてた癖に。』


サスケはそんなリクの様子を見てフッと笑った。

本来ここで謝るべきだろう。

ごめん、悪かった。

でも、そのどれよりも、言いたい言葉がサスケの中にはある。
いつも緊張して言えない事が、何故か今日だけはすんなりと口から出てきてしまった。


「お前…ほんと可愛いな。」


『………え?』


さっきまでグズグズして顔すら見せてくれなかったのに、今はキョトンとした顔をこちらに向ける。

暫く目線をそらさずにいると、リクがフワリと笑った。


『サスケのバーカ。』


「バカはお前だろ。」


…自分で爆弾を投下しといてだが、だんだんと目を合わせるのが恥ずかしくなってくる。

まさかそんな顔をされるとは思ってなかった。


「飯。」


俺はまだ腹も空いていないのに、そう言ってごまかし、頭をガシガシと掻きながらリクの部屋を後にした。






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