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大切【NARUTO】

第33章 火の意志





数日後、戦争で亡くなった木の葉の忍たちの葬儀が執り行われることになった。

黒一色で身を包み、サスケと共に第七班との約束の場に向かう。


『…ごめんね、待った?』


「いいえ、私達も今来たところ。」


「じゃあ…行くってばよ。」


向かう先は、火影邸、その屋上。

そこからは火影の顔岩がよく見える。

しかし、三代目の顔にだけ、今までなかった亀裂が入っていた。

それを眺め、私は唇を噛みしめる。
頭の中ではだいぶ整理がついたが、悲しい気持ちが消える事はない。

いつもの三代目の笑顔が頭を過ぎり、涙がこみ上げた。
そしてそれに気づいたサスケがまた、私の手をしっかりと握ってくれた。



葬儀が続く中、空が泣き出した。

それはここにいる全ての忍…いや、この里全ての人間の悲しみや苦しみの象徴だ。

溢れる涙すら隠してしまう重く暗い雨空の中、一人一つ、白い菊を持ち、三代目の眠る棺に添える。


(…三代目、私はきっと、強く真っ直ぐ生きていきます。
大切な人を守る事ができる、強い忍者に。
三代目のように、優しい忍者に。
空の上で、見ていてください。)


大切な人を失った痛み、悲しみ、苦しみは絶対に忘れない。

そして、彼の勇気、優しさ、温かさも決して忘れない。





葬儀が終わる頃には、雨も上がり、鮮やかな虹が見えた。
それはきっと、未来への架け橋だと思う。

三代目から受け取った《火の意志》を、しっかり受け継ぎ、未来へ受け継いでいくための、導きの橋。


『サスケ、私、前を向いて頑張るよ。
三代目から受け取った火の意志、守るよ。』


「あぁ。」


サスケと繋いだ手をしっかりと握りしめ、空を見上げる。

私は、サスケがいたから立ち直る事ができた。
そして前を向くことができる。

隣にいる彼を感じながら、七色の光を見つめていた。


「リクちゃん!サスケ!行くってばよ!」


『はーい!…行こう、サスケ。』


「フン…そうだな。」


仲間達の元へ、一歩、歩き出す。

三代目が安心して見守る事ができるように、前を向いて真っ直ぐ生きよう。



未来へ前進する、第一歩だ。



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