第32章 日向
カカシとともに会場にやってきたのはいいが、少々派手ではないだろうか。
そんなことを思ったけれど、これはこれでいいかとリクは息を吐く。
目の前にはナルトとシカマル。
ボロボロ具合からして、シカマルの試合まで終わったのだろう。
「いやー遅れてすみません。」
本当にそれだ。
私たちの試合、ダメになってたらどうするつもり?
カカシに沢山小言を言ってやりたいが、折角かっこよく登場したんだ。
そこは黙っておく。
「名は?」
「うちは…サスケ」
『歌神リク!』
会場が湧く。
どうやらサスケが来たことで盛り上がっているようで、ちょっとだけ悔しい気持ちになる。
『…いーよね。うちはブランド。私なんてノーマークだもん。実力はそんなに変わらないのに。』
初めてリーと会ったときも、彼はサスケサスケって言ってたし。
ムスッとしていると、サスケはニヤリと笑う。
「なら、実力を見せつければいいだけだ。」
『まあさ、そうだけど…。私もうちは名乗りたい。サスケ、苗字ちょうだい。』
「…バカかお前。意味わかってんのか?」
サスケが少し顔を赤くした理由が分からずに、私は首をかしげた。
でも、いつも通り。緊張はしない。
「へっ!二人とも随分遅かったじゃねーの!
俺とやんのをビビってもう来ねーと思ってたのによ!」
ナルトが嬉しそうに騒ぐ。
口ではこういうけど、やはり心配してたのだろう。
『フフッ。私達、ビビるどころか楽しみにしてたのよ?
ナルトくんの成長、強さを見れるところ!』
「フン…。あんまりはしゃぐんじゃねーよ。ウスラトンカチ…。」
そう返すサスケも、なぜだか嬉しそうだった。
私は笑顔で、そんな二人を見ていたのだった。