第31章 中忍試験・力
どうしてもとお願いして、リクとサスケは同じ病室にしてもらう事ができた。
カカシの言い分によると
「お前は特殊能力を持っているから、入院するなら護衛付きだ。二人が同じ部屋なら暗部の人数も少なくて済む。」
らしい。
カカシは何かとリクのお願いを聞いてくれる。
…というか『サスケと一緒に居たい』という願いだけは、聞いてくれて、どこにでも掛け合ってくれるのだ。
何故それだけを許してくれるのかは分からない。
(…今度先生に聞いてみようかな。)
そんな事を思いながら、カカシの差し入れの忍術の本や巻物を読む。
呪印や医療、高等忍術について、もっと学びたいというと、快く差し入れてくれたものだ。
要入院かつ暗部付きなので、外には出られない。
でもサスケがそばにいて、知識の源がある。
みんなの試合もきになるけれど、今はこの状況で十分だ。
『ねーサスケ。私の事どう思ってるの?』
なんとなく、話しかけたくなり、目を閉じたままのサスケに問う。
『私はね、サスケの事が…。』
最後まで伝える前に、口を閉じる。
(…寝てる間に伝えるなんて、ズルいよね。)
小さく息を吐いて、サスケの手を握った。
『早くサスケと家に帰りたい。
いつも通りの、二人でご飯食べて、笑って、修行して。
私は普通が幸せだよ。サスケはどう?』
普通がいい。
これから何事もなく。
最後のうちは一族として大蛇丸に狙われ、私の知らない誰かへの復讐を心に誓うサスケ。
この試験の間に、知らなかったサスケの姿を見た。
復讐を強調し、力を求めて闇にも身体を委ねる。
いつものサスケじゃなかった。
5年もの間、一時も離れず一緒にいたのに、私はまだサスケの全てを知らない。
その事が身にしみてわかった。
もっと、知りたい。
チームメイトとして、個人の欲として。
私の知らないサスケの事を、もっと知りたい。