第30章 中忍試験・絆
倒れかけたリクを受け止めて、驚く。
(身体が……熱すぎる…!)
さっきまで何ともなかったのに。
どうしてこんな急に…?
懸命に声をかけるが、とうとうリクは気を失った。
「リクちゃん!しっかりするってばよ!」
「さっきまでそんな様子全然…!嘘…!
すごい熱…!!サスケくんの時と同じぐらい酷いわ!」
わたわたと、慌てふためくナルトとサクラ。
リクは、今この班において精神の柱の様なものだ。
その彼女が、突然高熱で倒れたとなると、こうなる事は当たり前だ。
「サクラ!俺たちが気を失ってる間何かあったのか!?」
「大蛇丸と戦ってから、音忍達と戦うまでは戦闘はなかったけれど…。
強いて言うなら、ずっと見張りをしてくれていたぐらいよ?」
サクラは特に思い当たる事もない様で、ほかに何があったかと思い出そうとしている。
忍者であるのだから、寝ずの見張りはよくある事だ。
そんな事で倒れるほど、リクもヤワじゃない。
じゃあ一体何が…。
「サスケ!!リクちゃんのこれ!」
ナルトが指差すのはリクの鎖骨部分。
明らかになにか刺された様な跡が付いていた。
そしてそのすぐそばには…小さな黄色いクモ。
「なんだあ、こいつ?」
ナルトがそれに触ろうとした手を、サクラが物凄い形相ではたき落した。
「触っちゃダメ!…これは、毒蜘蛛よ!」
「なんだって〜!?じゃあ、リクちゃんがこうなったのって、もしかして…!」
ナルトのもしかしては、恐らく正しい。
突然こうなったのは、このクモのせいだ。
サクラの話を聞いたサスケは、すぐ様チャクラで手を保護し、リクの身体にいたクモを取り、火遁で焼き殺した。
「…サクラ、さっきのクモ、どれぐらいの毒を持ってる。」
「劇毒よ…。このままじゃリクは…3日も持たない…!」
「ちょ、じゃあ試験が終わる前にリクちゃんは駄目になるかもしんねぇって事!?」
「おいナルト!縁起でもないこと言うな!」
サスケが怒鳴ったところで沈黙が走る。
今この中で最も知識を持つサクラだ、嘘じゃない事は確かだろう。
苦しむリクの姿を、どうする事も出来ない三人は青ざめて見ていた。