第30章 中忍試験・絆
いのに髪を整えてもらい、木陰から出ると、サスケとリクの姿がなかった。
疑問に思い、いのと顔をあわせると、テンテンがグワッと振り向いて、手招きをした。
「ちょ…ちょっとみんな!来て!」
テンテンに呼ばれ、その場にいたものたちは集まる。
「どうしたの?テンテンさん。」
「服できたから、リクに渡そうと思ったんだけど…。」
そう言って、テンテンは耳をすませるポーズをする。
それに合わせて私達も耳を傾けた。
『ちょ…やめ…!さ、サスケ、痛い!…ふ…あっ…!』
「だから、変な声出すな。我慢しろって言ってるだろ…。」
…リクとサスケの声だ。
それになんだこの会話。
「こういう訳なのよ…。ネジ、白眼使ってよ。」
「俺の白眼はそんなものに使うものじゃない。」
「テンテン!ここは思い切っていきましょう!」
テンテンとネジ、そしてリーが言い合いを始める。
きっと、テンテンは入り辛くて困っているのだろう。
「サクラちゃん!サスケとリクちゃん…何やってるんだってばよ?」
「そんなの!こっちが聞きたいわよ!」
「あのリク!抜け駆けしたわねー!?サクラ、行くわよ。」
「ちょ、おい、いの待てよ!…たく、めんどくせー。」
「え、何?僕も行くの?」
サクラはナルトを、いのはシカマルとチョウジを無理やり引っ張り、リクとサスケの元へ向かった。
「こらー!あんた何抜け駆けして…?」
いのが叫ぶが、途中でやめる。
サクラも、ポカンと口を開ける。
そこには半泣きで痛みをこらえるリクと、真顔で膝の傷に薬を塗るサスケの姿。
『さ、サクラちゃん…助けて…!』
「動くな、やりにくいだろーが。」
二人がギャーギャーと騒ぐ姿になんだか安心する。
どうやらテンテンの早とちりだったようだ。
いのとサクラは顔を合わせ、大きくため息をついた。