第30章 中忍試験・絆
水を汲み、トラップを仕掛け、やっとの事さ戻ってきたと思えば。
リクがポロポロと泣いていた。
きっとその理由は、サスケを守ると言っていたのに、それができなかったから。
ずっと、サスケを守ると言い続けてきたのに、果たせなかったと自分を責めてる。
私は…私なんて、何もできなかったのに。
(本当にサスケくんの事で必死なんだ…。)
リクの涙を拭いながらそんな事を考える。
リクは泣かないし、強い人だと思ってたけれど、そうではないらしい。
本当は、何時だって悩み、サスケのために戦い、弱い心を無理に隠していたのだ。
なんだかリクは遠い人だったけど、近く感じる。
今は二人が動けなくて心が脆く崩れそうなのだろう。
…私と同じだ。
だったら、怖いけど笑おう。
一人じゃないんだ、二人なんだから何とかなるさ。
私が笑った姿を見て、リクがパチンと頬を叩き、気合いを入れ直した。
その様子に安心し、彼女の奥で眠る二人の様子を確認する。
すると、出て行く前よりも明らかに穏やかに眠る、ナルトとサスケの姿があった。
「リク…何かした!?」
顔色が、かなり良くなっているのだ。
リクも二人の姿を見て驚いた。
『歌を…歌ったの。』
「それよ!リクの歌が、効いたんじゃない!?」
『…でも、首の呪印は消せなくて…。』
リクに言われてサスケの首元を確認すると、確かに変なマークがある。
これが呪印…というものなのか。
「でも!サスケくん、さっきより全然良くなってる!ナルトもよ!
…もう少しだけ、聞かせてあげたら?」
何かしら、リクの歌には力があるのかもしれない。
先程のリクの姿を見て、そんな予想はしていた。
あの時の銀髪、血継限界…だろうか?
まあそれはのちに聞きけばいい話だ。
とにかく今は、気を失った彼らを助けることが優先。
私の提案にリクはコクリと頷いて、また口を開いた。