第30章 中忍試験・絆
水を汲んでくると外に出たサクラを見送り、ナルトとサスケの様子を伺う。
ナルトは呼吸も安定しており、熱もない。
一方サスケはナルトとは正反対で。
『ナルトくんは…もう大丈夫。
でもサスケは…。ごめん。守るって言ったのに、私が弱かったから…。』
サスケの首元に付いた呪印は、蒸気が出ているほどの熱を帯びていた。
苦しそうにしているサスケは、一向に目を覚ます様子はない。
ナルトとサスケの汗を拭き取ってやり、リクは唇を噛み締めた。
『私に出来ることはないの……?』
二人の姿に無力な自分が嫌になる。
その時、左腕がズキンと痛んだ。
この痛みは、白いアザの所為だ。
『……そうよ!歌………!』
アザの痛みで思い出した。
私には、セイレーンの力がある。
記憶にある中で、歌ったことがあるのは金縛を解いた先程の一回だけだ。
他にどういったことが出来るかはわからない。
けれど、金縛を解けたこの力なら、サスケの呪印を解くことが出来るのではないだろうか?
側に咲いていた花にむかい、試しに歌を歌う。
するとその花は、更に精力がました。
…やれるはず。
リクは、口を開く。
もしかすれば、呪印だって消せるんじゃないかという期待を持って。
私の歌は、何かを失う歌。
だけど彼以外なら、自分が何を失っても構わない。
サスケを守るためだ。
もう一度、自ら歌の封印を解き、歌った。