第30章 中忍試験・絆
「ねぇ、歌神さん。今こんなこと聞くのもどうかと思うけど、二度と聞く機会なんてないと思うから、聞いてもいい?」
『別にいいけど…なに?』
そんな深刻なものなのかと、眉をひそめる。
「…どうしてこんなにサスケくんと仲がいいの?」
『どうして…って、言われても…。』
まさかの質問で、ポカンと口を開ける。
もっとこう、これからのサバイバルの話かと思っていたから余計に。
それに改まって尋ねられると、返答に困る質問だ。
里に来て、家が隣で、アカデミーでも隣の席になって…。
でも、そんな簡単な理由でここまで仲良くなったわけではない。
サスケの事は、出会ったときは無愛想なやつだと思った。
でも出会った瞬間から、心の何処かで『私はこの人と一緒にいるんだ』という使命感があった。
この事を誤魔化して伝えるべきか、正直に話すべきか悩み、黙り込んだ。
「…ごめん。こんな話しして。」
サクラが場違いよねと笑う。
サクラがサスケに好意を寄せている事は知ってる。
だから、本当の事を言う事をためらった。
…だけど、誤魔化してはダメだ。
いつかは言わなきゃならないとは思っていた。
それがサクラに問われた今なのだ。
勇気を出して、胸の内を声に出した。
『私は、サスケに会った時、この人を守らなきゃって思った。
なんでか分かんないけど。』
「サスケくん、強いのに?」
『うん。そして、絶対に離れちゃダメだって思った。
サスケと何度も話すうちに、この人を独りにしちゃダメだって。』
きゅっと口を結ぶ。
言葉にするのが恥ずかしい。
けれど言わなくちゃならない。
気付いたばかりの、一番大切な事を。
恋のライバル、として。