第30章 中忍試験・絆
リクとサクラは、気絶したナルトとサスケをどうにかして木の根の隙間に連れ込み、身をひそめた。
『ここまで敵に見つからなくて良かった…。』
「そうね、運が良かった。」
途中で襲撃されれば、危ないところだった。
ほとんどチャクラを残さない自分とサクラで、二人をかばいながら戦うことは、極めて難しい。
それに、止血してもらった右足もズキズキと痛む。
顔をブンブンと横に振ってマイナスな感情を振り飛ばし、気合いを入れ直した。
…先程確認したのだが、左腕にはアームウォーマーのお陰で見える位置ではないものの、白いアザが広がっていた。
(…このアザ。波の国でもできてたって、カカシ先生言ってたな。
これがセイレーンの力の代償…。めっちゃ痛い…。)
脈を打つような痛み。
だけど、サスケの方がもっと辛い。
そう自分に思い込ませて、必死に耐えた。
耐えることはできても、運悪くアザができたのが利き手だ。
まともに戦えるかどうかすら怪しかった。
だから、敵に遭遇しなかったのは本当に運が良かったと思う。
「歌神さん…サスケくんの熱が…。」
サクラに言われてサスケの額に手を当てる。
先程よりも更に熱が上がっているのだ。
どうする事もできない自分が嫌になる。
『熱がすごい…。春野さん、汗、拭いてあげてくれない?
私、ナルトくんの様子も確認するから。』
サクラと分担して、2人の様子を見る。
こんな事なら医療忍術でも学んでおくべきだったかと後悔する。
まあ医療忍術なんて、すぐに出来るものではないのだけれど。
そんな事を考えていると、サクラがこちらを向いた。
何かを尋ねようとしてるようで、目が訴えていた。
『…どうかした?』
尋ねてみると、一瞬ビクついた様子をみせた。
いま私たちの間で遠慮なんてしてる場合じゃない。
そう催促すると、サクラは話を始めた。