第29章 中忍試験・死の森
もう、孤独へ突き落とさないでくれ。
サスケの言葉にズキリと胸が痛む。
私はサスケを守るどころか、苦しめようとしていた。
命がいらないなんて、嘘だ。
波の国で、残された者がどれだけ苦しい想いをするか、学んだはずなのに。
何て事をしてしまったんだと、サクラの肩を借りながら思う。
胸が苦しくて唇を噛み締めていると、大蛇丸が巻物を燃やした。
やはり大蛇丸には、巻物など関係なかったようだ。
そして大蛇丸は、もう一度会いたいなら音忍を破って来いという。
「なに訳わかんない事言ってんのよ!
あんたの顔なんか、こっちは二度と見たくないって言うのよ!」
サクラが叫ぶ。
もちろん、リクだって二度と会いたくない。
大蛇丸を見ると、印を組んでいる。
何か仕掛ける気だと、ホルスターから手裏剣を取り出した。
「フフ…そうはいかないのよ。」
『…え!?』
大蛇丸はてっきり忍術を使うのかと思ったが、首が伸びた。
そして、サスケの首元に噛み付いたのだ。
『…なにするの!サスケから離れて!』
持っていた手裏剣を大蛇丸に向けて投げる。
しかしそれは、すべて躱された。
「ぐ…っ、なんだ急に…苦し…!」
サスケの異変に気付き、サスケを見ると、噛み付かれた場所を抑え、唸りだした。
『…サスケ!』
「あんた!サスケくんに何したのよ!」
大蛇丸はサクラの問いに笑って答える。
「別れのプレゼントをあげたのよ。
サスケくんは必ず私を求める…。力を求めてね…。」
『力を…求めて?』
リクの質問に答えることなく、大蛇丸は土の中へと姿を消す。
サスケの苦痛の叫び声が辺りに響き渡った。