第29章 中忍試験・死の森
「よせナルト!リク!逃げろ!」
俺の声で二人は止まらない。
ナルトが蛇に叩き付けられ、血を吐く。
その隙を狙い、炎を纏ったリクが思い切り草隠れの忍に殴りかかる。
しかし、それすらも止められてナルト同様に遠くの幹へ叩きつけられた。
「ナルト!歌神さん!」
サクラが二人の名を呼ぶ。
「くそくらえー!!」
それに呼応してか、紅色のチャクラをまとったナルトが立ち上がり、蛇に強烈名一撃を食らわせた。
(あ、あれが…ナルト!?)
リクもまた、ゆっくりと立ち上がり、奴を睨みつける。
そしてリクは走りだし、攻撃を食らわせようとするが、頬を掠めるだけでしっかりとした一撃は当たらない。
そのまま2人は共に奴の術で吹き飛ばされた。
「次はサスケくん…君よ!どう出る!!」
大蛇が襲ってくる。
恐怖で体が震えて、動かない。
『サスケ逃げて!!!!』
「サスケくん!!!!」
リクとサクラの声が聞こえる。
それでも動く事はできなくて、くるであろう衝撃に耐えるべく、目を閉じた。
しかし、衝撃はいつまで襲ってこない。
恐る恐る目を開けると、いつもと雰囲気の違うナルトが盾となっていた。
俺を、庇ったのだ。
「…よぉ、ケガはねーかよ…、ビビリくん。」
息切れ切れにナルトが放った言葉は、嘗て俺自身が、こいつに言った言葉だった。