第19章 演習前に
風呂から出た時、突然リクは顔を赤くするから、鈍かったこいつも、やっと何か気付き始めたかと思ったがそういう訳ではなく。
思いっきりベッドに倒されるから、何事かと思えばものすごく平然な顔をしてやがるし。
リクにとって、何がセーフで何がアウトなのか…
全く、読めない。
チラリと横を見ると、既にリクは目を閉じていた。
「…もう寝たのか。」
規則正しい寝息を立てるリク。
…いつの間にか繋がれた手をしっかり握りしめるリクが、可愛くて仕方がない。
「こういうのをな、生殺しって言うんだよ。バカ。」
彼女の頬を撫でてやると、気持ちよさげに『むにゃむにゃ』と言う。
これを我慢しろという方が無理である。
「……許せ。」
聞こえるはずもないが、謝る。
そして、彼女の額に静かにキスをした。
こんな事するなんて、本来はダメだ。
しかし、今回はそうさせた彼女が悪い。
サスケは赤くなった顔を隠すように、リクに背を向けて、眠った。