第15章 負けない
『明日から朝起こしてね。そしたら、弁当も作れるし。』
「自分で起きろよ。」
『今日みたいにアカデミーに遅れちゃう。』
「…チッ」
サスケの背で、ケラケラと笑いながら話す。
「自分で起きろ」とか言ってるけど、きっと起こしてくれる。
なんでか、そんな気がする。
他のクラスメイトにはない、絶対的信頼と安心感を、サスケに持っている。
まだ出会って2日目なのに、此処まで心を開けるなんて。
(記憶をなくす前にも、会ったことがあるのかな。)
そう思ったが、考えてもわかるはずなく。
彼に身体を預け、特に意味もなくぎゅっと抱きついた。
他の誰にもない、信頼と安心。
この感情に、なんと名前をつけようか。
兄弟…、ちがうな。友達…、ではない。
考えてもわからない。
これも、いつか答えが分かるだろうと、心の奥にしまいこんだ。