第13章 話題の女
リクと弁当を食べ、会話をした。
今まで他人と飯を食うなんて、不快でしかなかった。
…あの日からずっと、そうだった。
だが今は、それとは逆の気持ちがサスケの心を覆っていた。
『おっ、もうすぐ授業が始まる!サスケ!行こっ!』
ドアへ向かうリクの背中に、サスケは何故か引き止めたくなった。
また、幼馴染の姿が重なる。
「おい、リク。……明日も来い。」
思わず、言ってしまった。
警戒心は強い方なはずなのに、こいつには安心感さえ覚える。
『うん!』と、嬉しそうに笑う姿は、心を穏やかにさせる。
こんな気持ちになったのはいつ以来だろうか。
(つくづく話題の尽きない女だ。…歌神リクか。)
サスケは、廊下で手招きしている、その話題の女の元へ向かって歩いていった。