第15章 ガーネット
「男…好きなんだ?」
思わず、口をついて出てしまった。
『えっ…』
その声を聞いた瞬間、しまったと思った。
「じゃあ」
『翔ちゃんっ…』
慌てて電話を切った。
こんな風に言うつもりじゃなかったのに。
智くんが必死だから思わず言ってしまった。
俺だって人のこと言えたもんじゃないのに。
昨日から今朝まで抱いていたのは、男だっていうのに。
しかも嵐のメンバーである、潤。
「は…。ばかみてー…」
別にいいじゃないか。
快楽を追い求めて何が悪いんだよ。
普通に恋人を作ることも難しくて、結婚して子供を持つなんて夢のまた夢だ。
写真誌に撮られないか警戒しながら、コソコソ女と付き合うのも楽じゃない。
だから…ひと時の快楽を求めて…
何が悪い。
手の中のスマホがまた、鳴り出した。
画面に表示された名前は、やっぱり智くんで。
「なんなんだよ…」
出るかどうか迷って、結局出なかった。
これ以上、深入りするつもりはなかった。
余計な事は言ってしまったけど…
でも別に、誰にも言うこともない。
俺の心の中にしまっておけばいい。
着信を切って、スマホの電源を落とした。
そのままリビングのテーブルにスマホを投げ出して放っておくことにした。