第15章 ガーネット
適当に家の近所で飯を食って家に帰った。
スマホは音が出ないように設定していて、そのまま暫く忘れていた。
洗濯をして、軽く風呂も掃除して。
リビングに戻ったら、スマホの音を消していたことを思い出した。
テーブルの上に置いておいたのを手に取ると、着信が入ってた。
「智くん…」
なんだってんだろ。
滅多なことじゃ電話なんてしてこないのに。
さっきホテルで会ったことなら、別に気にしてないのに。
いや…まあ、気になるっちゃなるけど…
ベッドのシーツを変えながら、どうしたものかと思案した。
自分のことなら、潤と一緒に居たのを見られたわけでもないし。
別にそれを見られていたとしても、一緒に飲みすぎて家に帰れなくなって仕方なく泊まったと言えばいい。
後で潤と口裏を合わせておけば済む話だった。
仕事の話だったらまずいな。
なんとなく、気まずくて掛けたくなかったけど、電話してみた。
2コールで、すぐに智くんは電話に出た。
「もしもし…どうしたの?」
電話なんて何年ぶりにするだろう。
用事があっても、収録で会って言えばいいくらいの用事しかなくて。
個人的に連絡することなんて、ここ数年はほとんどなくなってた。