第14章 ライム
その日は、逃げるように家に帰った。
一体何が起こったのか、考えるのも疲れた。
なんで相葉さんが俺の性欲処理なんか…
ほんと、思考がミラクルだわ…
俺には理解できない。
それでも…
幼馴染みたいなもんだし。
俺とは真逆で、素直過ぎるくらいだし。
馬鹿だし…ミラクルメーカーだし。
だからこそ、一緒に居て疲れないっていうか…
そんな人、あまり俺の周りには居ないから。
だから、もうあんなことはなかったことにしようって決めた。
相葉さんも一時の気の迷いだったみたいだし。
別にホモってわけじゃないだろうし。
なにより…
俺のこと考えた末のことだったみたいだから…
ちぇ…でもなあ…
暫く左手が恋人かぁ…
彼女作るのも面倒だしなあ…
今から”好きですそうですか”をやるのはちょっと億劫だ。
幸い、もう今年のあの番組の収録は終わってるし。
暫く便所女には会わないから、ちょうどいいか。
でも、溜まった性欲の処理、まじでどうしよう。
次の週末は、名古屋でコンサートだった。
入は、俺が前日東京で収録もあったからバラバラだった。
ドームの控室で、あれ以来初めて相葉さんと顔を合わせた。
「あ…お、おは、よ」
「おはよ…」
あからさまに動きがぎこちなくて、頭を抱えた。