第13章 ピスタチオ scene3
なんか…照れくさい…
なんでそんな見てるんだよ…
すっごく穏やかな表情で、深い目をして…
「和也…」
「ん…?」
すっと腕を広げて…
こっちおいでってことだよね…?
でもなんか照れくさいから、すぐには飛び込めなかった。
「ほら、おいで?」
ニッコリ笑うから、ぼすんって抱きついて胸板に額をこすりつけるようにして顔を埋めた。
ふふっと笑うと、ふんわりと抱っこしてくれた。
「愛してるよ…」
ぽつんと呟いた言葉が、胸に染み渡る。
「ば、ばか…」
「かわいいなあ…おまえは…」
「知らないっ…」
ぎゅうううっと俺も抱きしめ返した。
「ぐ、ぐるじい…」
ふたりでそのまんま笑いながら暫く抱き合った。
「俺も愛してるよ…智…」
”おにいちゃん、よかったね”
”あおーんっ…”
「ん?」
「どした?」
「いや…なんか声が聞こえた…」
キョロキョロと智が周りを見渡したけど、なんにも居ないみたいだった。
「…そっか…もしかして、応援されてたかな…」
「え?」
「あの座敷わらしの子…がんばってねって言ってたんだよね…」
「えっ?智も?」
「え?和也も?」
ふたりでびっくりして見つめ合った。
…よく考えたら、超はずかしくね…?
ハジメテを誰かに応援されるなんて…
「…今度、お礼しとこ…」
「う、うん…」
一体どうやってお礼なんかするのかわからないけど…
真っ赤になってたら、智の顔が近づいてきた。
そっと目を伏せてキスを受け止める。
「…今度は、智が下だからね?」
「いや、ぜってーおまえのほうが向いてるから」
「そんなのわかんないもんっ」
ゲラゲラ笑いながら、いつまでも二人でふざけあった。
俺たちずっと一緒に居るね
だから、これからも…
「わんわんっ…」
「うわっ…黒!?」
「うっそー!」
「あっ…和也このやろっ…」
END