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カラフルⅣ【気象系BL小説】

第11章 珈琲色


「あー…早く俺にも運命の番(つがい)できないかなあ…」

ニノがぼそりと呟いた言葉にドキっとする。

「あ?今時…?」
「だって、翔ちゃん…見てよ大野さんと潤…あんな風になれたらいいと思わない…?」
「俺は…そうは思わないな…」

誤魔化すように俺は席を立った。

「今時、αとかΩとか…薬で抑制できるんだ。そんな人間の肉体的な本能になんか縛られたくない」

それだけ言うと、楽屋を出た。

まだ心臓が煩い。
どきどきする胸に手を当てながら、俺は歩いた。

今時…αだのΩだの、関係ない。

昔はΩを下に見るような世の中だったけど、Ωのフェロモンを抑制する薬が開発されてからは、あまり表立ってそういうことをいう人間も減った。

特権階級であったαの反発はあったものの、この世にはβが多いんだから、民主主義の原理ってやつが働いて、フラットな世の中になりつつある。

今では自分が、αなのかΩなのか、はたまたβなのかを申告しないでも働ける世の中になってる。

俺たち嵐だって…

メンバー間、お互いがなにかなんて、知らなかった。

だけど…あの二人…

智くんと潤は、運命の番になってしまった。

智くんはαであることを隠してはいなかったけど、潤はずっと自分がΩだということは隠していた。

抑制剤を飲んで、ずっとひた隠しにしてたんだ…
潤のイメージってもんがあるからね…

まさか嵐の松本潤がΩなんて…誰にも言えなかったんだろうな…

それに気づいたのが、βである雅紀。

一度だけ、油断した潤が抑制剤を飲むタイミングを間違えて…

その時一緒に仕事をしてた雅紀が、潤の出すフェロモンにやられてしまったらしい。

必死に自分の欲を抑えつけてたけど、我慢できなくなった雅紀はそれを智くんに相談した。
βだから、我慢できたんだろうけど…雅紀にはしんどかったろうな…

それが、あいつらが運命の番だってわかるきっかけになった。

今、智くんと番になった潤は、抑制剤を飲まなくても、いい体に変化した。

「…運命ね…」

運命のαと番になると、Ωのフェロモンはその相手にしか効かなくなるという。

目の前でそれを見てしまった俺たちは、今更ながらαとΩの運命の強さに、呆然とした。

そして、羨ましくもあった。


だって、俺はΩだから…


そして、ニノは…αだから





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