第11章 珈琲色
もう冬がやって来ようとしている10月下旬。
リハやらなにやらで忙しい最中、リーダー大野はメンバーに集合を掛けた。
場所は大野の自宅だ。
そう、あの大野の家。
一人暮らしを始めたのは30歳になってから。
それからというもの、松本しか招待したことのないあの大野の自宅だ…
スキャンダルがあったので一度引っ越しはしているが、相変わらずメンバーを招こうとはしていなかったあの自宅だ。
「わーリーダーんち初だよおお」
相葉がうきうきしてる。
「なんか、大野さん臭い…」
二宮は鼻をくんくん動かしてる。
「智くんち、新鮮だなぁ…」
櫻井は好奇心いっぱい。
「ふ…俺、前の家は遊びに行ったことあるもんね」
松本はなんだか自慢げ。
「皆、集まってくれてありがとうね…」
皆、大野に注目する。
心なしか、最近元気がない。
近頃メンバーとやたら飲みに行ったりする大野。
つい最近、ついに二宮の熱望が叶い、二人だけで焼肉にまで行っている。
あんなに拒絶していたのに、これは一体何事かと、メンバー内では話題になっていたものだが…
大野はそろりと少し俯いていた顔を上げた。
そして、意を決したように呟いた。
「俺…勃たなくなっちゃった…どーしよう…」
「「「「はぁっ!?」」」」」
「ちょっちょ…どういうこと…えっ?リーダー?」
「智くん…それは一体…」
焦る相葉と櫻井。
松本と二宮はドン引きしている。
「もしかしてこの前からやたらと俺たちを飲みに誘ってきたのって、それを相談しようとしてたの…?」
「なんだよ…そんなことだったのかよ…てっきりもっとヤバイやつかと思ってたのに…」
松本は早速スマホを取り出して、『バイアグラ』と入力している。
「う…うう…」
突然、大野が泣き出した。
相葉と櫻井は増々焦る。
「り、リーダー…!きっとなんとかなるよ!ほら、最近は薬もあるし!」
「そうだよ!智くん!今はバイアグラって物があって…」
「実は…」
悩んだ大野は、医者に密かに掛かっていた。
そこで衝撃的なことを告げられたそうだ。
「おでの身体に…薬が合わないんだって…」
「ええっ…」
「だから、自然に勃起するように…精の付くもの食べたりとか、自分の趣味にあった…そーいうビデオとか見て、頑張るしかないって言われて…」
結局、それもだめで大野は八方塞がりなのだ。