第11章 珈琲色
の「あ!松にい、ありがとね!」
松にいはのさまじょに向かってちゃきっと手を振ると、半纏の襟をしゅっと鳴らしてスタジオを出ていった。
大「え…のさまじょさんは、松にいと知り合いなの…?」
の「まあ…遥か昔…」
櫻「ええっ…そうなんだ…」
の「まあま、それはいいとして…」
のさまじょは大野の手と櫻井の手を取った。
そこにコロンと金平糖を載せた。
櫻「あれ…これ…」
大「そういえばこれ、みりぃ先生の小説で小道具に使われていなかった?」
すっかり夢サイト通な二人…仕事熱心にも程がある。
櫻「あ…やっぱそうだよね?しあここの凄い前半で…」
大「そういえば、のさまじょさんの小説でも…」
櫻「あっ…あれだろ?上海の租界のやつ…」
の「いやあ…今回はなまこ先生がその雰囲気のものをやりたいって仰って…」
二人に金平糖を食べるよう勧めると、素直にころんと口の中に放り込んだ。
大「…甘いね…翔くん」
櫻「智くん…甘いね…」
見つめ合う二人の間に、にょきっとのさまじょが顔を挟んだ。
櫻「ぬあっ…」
の「さ、大野さん行きましょうか?」
大「ええっ…また俺なの!?」
の「さあさあ行きますよ」
大「やっ…やだぁっ…翔くん助けてっ…」
櫻「さ、智くんっ…!」
櫻井が止めようとするのを、のさまじょは目で制した。
の「櫻井さん…」
櫻「…す、すいませんでしたぁ…」
大「ああっ…翔くんひどいっ…」
櫻「ごめんね…智くん…ご無事でっ…!」
櫻井が土下座すると、のさまじょは満足げに笑った。
の「さあ、大野さん、お次はまた二宮さんとのお仕事ですよおお~!」
大「いやぁぁぁぁぁ…もう仕事したくないぃぃぃ…!」
大野の襟首を持って引きずっていくのさまじょの手に、ミントの葉っぱが山盛り握られていたのを櫻井は目撃した。
櫻「次は…アレか…」
ごくり、櫻井の喉が鳴った。