第11章 珈琲色
「いいぞ、雅紀」
「あーいっ…」
翔ちゃんの合図で俺は車を降りた。
「わ~…気持ちいいっ…」
青い海、青い空…
燦々と輝く太陽…!
ここは南の島のリゾート地。
翔ちゃんが見つけてきてくれた穴場なんだ。
え?どこかって…?
うふふ…ひ・み・つ。
「台風がきてるらしいけど…天気よくて良かったな」
「うんっ!本土みたいに寒くなくてよかったね!」
「そりゃ、こんだけ南に来てるから…寒かったらがっかりだろ」
荷物を下ろしながら、翔ちゃんは苦笑いしてる。
ここには空港はなくて、連絡船できた。
港にレンタカーを手配しておいて、これから暫く滞在するおうちまで車できたんだ。
俺たちだって、バレないかヒヤヒヤしてたんだけど…
なんとか無事にここまで二人で来れた。
途中までマネージャーに一緒に来てもらってガードもしてもらってたし…
でも、この島には二人で来たんだよね…
付き合って10周年の旅行だもん♡
「さて…ご挨拶行くか」
二人で家主さんに挨拶して、お土産渡して…
ここの家主さんは翔ちゃんの古い知り合いなんだって。
老後をこの島で過ごすために、こちらに移住してきたんだって。
俺たちのお宿は、このご夫婦のおうちの離れ。
息子さん夫婦が来る時に使うもので、暫く使う予定もないからどうぞと快く貸していただいたんだ。