第11章 珈琲色
咄嗟に潤くんの手を掴んだ。
「和也…?」
頭が真っ白になった――
ぐいっと手を引き寄せると、マットレスに潤くんを押し倒した。
何か言おうとする唇を塞いで、深いキスをする。
無理やり潤くんのパジャマを脱がせながらマットレスにその白い身体をうつ伏せにした。
いかないでいかないでいかないで…
俺を置いて架純ちゃんのところになんか行かないで
「…どうしたんだよ…」
動きの止まった俺を見あげながら潤くんは起き上がった。
だめだ…こんなことしたって…だめなんだ
「ごめ…潤くん…ごめ…」
ぽろぽろと涙が勝手に溢れてくる。
こんなに自分勝手なことしても…
潤くんの心を繋ぎ止められるわけないんだ
「ごめん…ごめん…」
泣き出した俺を、乱れたままの格好で見ていた潤くんはそっと引き寄せて抱きしめてくれた。
「ごめん…不安にさせてた…?」
「違う…俺、勝手に…」
ぎゅうっと潤くんの腕に力が入る。
「俺には…和也だけだから…」
「うん…」
「愛してる…」
「うん…うん…」
ねえ…抱いてよ…
いっぱいいっぱい俺のこと愛してるって…
教えて…?
「あっ…潤っ…く…」
「やべ…すっげ、気持ちいい…」
潤くんの声が嬉しかった
潤くんの吐息が嬉しかった
後ろから貫かれながら、嬉しくて泣けてしょうがなかった。
「もう…泣くなよ…」
「泣き止みたいけど…止まんないんだよぉ…」
「も…かわいいんだから…」
「潤くんの顔がみえない~…ううう…」
「ばか…」
ぐいっと身体がベッドから浮き上がった。
「えっ!?」
「見せてやるよ」
寝室の隅に置いてる姿見の前に立った。
「ちょ、ちょっと…!?」
「ほら、俺の顔見えるだろ?」
「もっ…もうっ…相変わらずっ変態っ!」
「なんとでも言えよ」
ぐいっと身体を姿見に押し付けられた。
「ほら…俺の顔見ながらイケよ」
低い低い声が耳元で聞こえた
汗が滴る前髪
快感に歪められる眉毛
薄く赤く染まる頬
俺の中で凄く気持ちよくなってる顔…
俺の…俺だけの潤くんだぁ…
「ふふ…また和也の新しい顔見ちゃった…」
「え?」
「嫉妬…だろ?」
「ち、違うもんっ…」
俺たちの長い愛は…
まだまだ…続く
【END】