第9章 ミント-before-
「おはよー」
10周年に向けたリハーサルが続いてたある日、リハ用のスタジオに入ったら、俺と大野さんしか居なかった。
「は?どういうこと?」
「すいません…松本さんはセットのことで打ち合わせ長引いてて、櫻井さんは急な取材が入って、相葉さんは体調不良で…」
「はぁ…じゃあ、今日中止にすればよかったのに…」
「いえ、松本さんから大野さんと二宮さんにばっちり仕事貰ってますんで、二人でやってください」
「わあったよ…もう…」
大野さんとは、暫くちゃんと喋ってなかった。
忙しかったのもあるけど、もう向き合い方がよくわからなくなってた。
避けてるわけじゃないんだけど、楽屋とかでもあんまり近くにいることもなくなってた。
スタジオの床に、潤くんからの宿題を広げて眺めてると、大野さんがやってきて向かいに寝転がった。
「あー…あのさ、ジュニアくんたち帰してもいい?」
「え?」
「だって、今日リハできないっしょ…俺たち二人じゃ場当たりもクソもないし」
「まあね…いいんじゃない?振り落としも中止でしょ?」
「うん。じゃあ、帰してもらうわ」
大野さんの振り付け分はまだ後だし、今日はメンバーが揃わないんじゃやることもない。
マネや舞監さんに相談したら、それでいいってことになって、リハ室には人が一気に少なくなった。