第7章 グレイ scene5
「ぐっ…あっ…潤っ…」
「何ヘタってんだよ…まだ足りねえよ…」
白い身体が撓る
俺の汗か、彼の汗かわからない飛沫が舞う
「もっ…おねが…ぃっ…辛い…」
「なんで…?俺はもっと辛かったんだよ?」
ぐいっと肩に手を掛け身体を起こすと、そのまま俺に寄りかかってくる背中。
「あんたのこと、好きすぎて死にそうなんだけど?」
「じゅ…」
「なあ…いっその事、殺してくれよ…」
がつんと腰を突き上げると、操り人形みたいに身体が跳ねた。
「俺を…殺せばいいだろっ…」
「はあ?あんた殺したら、あんたが楽になるだけじゃないか…なあ…だったら、俺を殺して一生苦しんでくれよ…翔…」
翔…
なあ…
こんなに愛してるのに…こんなに好きなのに…
何であんたはわかってくれないんだよ
「そしたら…一生あんたの中に棲めるのに…」
悲鳴にも似た叫びが、翔の口から漏れ出る。
「俺はっ…おまえしか居ないっ…」
無意識の反対ってなんだっけ…
無意識…無意識…
「智くん、寝るならちゃんとこれ被って」
無配慮…
「ん~…翔ちゃん…」
「はいはい…ね、もう、風邪ひくから…」
「翔ちゃんがお布団になってよぉ…」
「はあ?何いってんの」
無自覚